「ホームページやSNSに動画を載せたい。でも、プロに頼むと数十万円。納期も数週間。そこまでして作る価値があるのか?」
そんな迷いから、動画をあきらめてきませんでしたか。
AIを業務の中心ツールにして、Webマーケティングコンサルを行っています。その前は、自動車エンジンの開発一筋30年。商品を作り込む仕事をしてきました。
そんな私が、相棒のAIエージェントと動画制作を実践してたどり着いた結論は、「動画は、撮影しなくても作れる時代になってきた」です。
しかもこれは私だけの話ではありません。あのコカ・コーラが、2025年のクリスマスCMをAI生成で作った時代です。
今回の記事では、相棒のAIエージェントと、写真1枚から動画を作った実践の記録を公開します。
この記事を読むと、次のことが得られます。
この記事で得られること
- 写真1枚が動画になるまでの全手順を、実際の指示文つきで再現できる
- なぜ写真1枚で動画が作れるのか、仕組みが分かる
- 今のAIにできないこと(3つの壁)と、その先に来る世界が分かる
- 完成した3作品で、今のAI動画の実力を自分の目で確かめられる
では、一緒に見ていきましょう。
第1章 動画制作に、第2の選択肢

この章では、動画制作の選択肢がどう増えたのかをお話しします。
先にお伝えしたいのは、「プロの動画が要らなくなった」という話ではないということです。選択肢が、増えたのです。
2026年の夏、私はAI動画サービスを月19ドル(約3,000円)で契約しました。正直に言うと、契約前の2日間は、どのような使い方が最適なのかを試行錯誤していました。
でも、アカウント登録してからは、動画生成は思ったほど簡単でした。契約から3日で、3本のショート動画が完成しました。
以前、自分の商品広告のために、Adobeのプレミアプロで動画編集していたので、動画編集自体は簡単でした。
使ったのは、手元にあった写真と、ふだんの資料作りに使っているCanvaだけ。カメラは一度も構えていません。モデルの手配も、撮影場所の予約も、立ち会いの日程調整も、何ひとつしていません。
私自身、ずっと「事業の動画は制作会社に頼むもの」だと思ってきました。見積もりを取れば数十万円から。これは相場の話ではなく、私が実際に発注を検討してきた中での実感です。
だから動画は「ここぞという時だけ」の特別なものでした。
これからは、こう考えられます。
「動画はぜんぶ外注」の一択だった時代が、終わろうとしています。
ヤスとビルドくんの会話
第2章 数十万円の見積もりの中身

この章では、動画制作の見積もりが高くなる理由を、発注する側の目線で分解します。ここが分かると、AIで何が消えて、何が残るのかがはっきり見えます。
まず、制作会社が高いのは、手を抜いているからでも、儲けすぎているからでもありません。理由は大きく3つあります。
理由1:機材そのものが高い
業務用のシネマカメラは本体だけで数十万〜数百万円。レンズ、照明機材、音声機材、ジンバルやドローンまで含めると、プロの撮影機材一式は高級車が買える金額になります。
この設備投資が、1本1本の見積もりに乗ってくるのは当然のことです。
理由2:技術料——「撮れる」と「魅せられる」は別物
同じカメラを渡されても、素人とプロでは仕上がりがまるで違います。構図、ライティング、色の設計、カット割り。プロのカメラマンや編集者の技術は、長年の修練で身につけたものです。
技術料が高いのは、それだけの価値があるからです。
理由3:人が動く時間のかたまり
| 工程 | 何をするか | 何にお金がかかるか |
|---|---|---|
| 企画・打ち合わせ | 構成案づくり、絵コンテ | ディレクターの時間 |
| 撮影準備 | モデル手配、場所の確保、日程調整 | 人件費・スタジオ代 |
| 撮影当日 | カメラマン・照明・立ち会い | 複数人の1日拘束+機材 |
| 編集 | カット割り、テロップ、音入れ | 編集者の技術と時間 |
| 修正 | 確認→直し→再確認 | やり取りのたびに時間 |
そして納期が数週間になるのは、この工程を関係者全員の予定を合わせながら進めるからです。撮影後に「やっぱり変えたい」と思っても、撮り直しには同じ段取りがもう一度必要。だから実質、撮り直しはできません。
つまりこうです。動画制作費用が高くて、期間が必要になるのは、「高価な機材」「プロの技術」「人の時間」の3つが積み上がるから。
では、AIはこのうち何を消したのか。機材はゼロになりました。撮影の段取りもゼロ。では技術は?——実は、ここが面白いところです。
「撮る技術」は不要になりましたが、「指示する技術」と「見極める技術」が新たに必要になりました。次の章で、その中身を実物でお見せします。
ヤスとビルドくんの会話
第3章 写真1枚が動画になる全手順

この章が、この記事の重要な部分です。1本目の作品「AIエージェントに、動画を作らせてみた。」が出来上がるまでの全工程を、実際に使った指示文(プロンプト)ごと公開します。
パソコンが使える方なら、再現できるはずです。
なぜHiggsfieldを選んだのか
動画生成のサービスは、世の中にたくさんあります。GoogleのVeo、OpenAIのSora、Runway、Kling——どれも有名です。
その中で私がHiggsfield(ヒッグスフィールド)を選んだ理由は4つあります。
つまり「世界2位クラスの系列モデルを、月3,000円・1本300円で試せる」のが決め手でした。
step
1写真を選ぶ(5分)
プロフィール用に撮ってもらった写真から選びました。ここで最初のつまずきがあります。顔が写った写真をアップロードしたら、生成がブロックされたのです。
調べて分かったのですが、Higgsfieldの利用規約では「他人の画像は、本人の明示的な許可がないとアップロードできない」「顔などの生体情報の投稿は制限される」と定められていて、参照画像はAIが自動チェックしています。
実在の人物の顔は、なりすまし動画(ディープフェイク)対策で厳しく見られるのです(詳しくは第6章)。
そこで、顔が写っていない後ろ姿・手元のカットを合計3枚選びました。結果的に1本目のプロモーションビデオは、この3枚の写真から作っています。
step
2動きの指示文を書く(15分)
HiggsfieldのサイトでVideoを選び、モデルはSeedance 2.0 Fastを指定。画像をアップロードして、縦横比はAutoのまま。そして動きの指示文を入れます。

実際の生成画面がこちらです(画面は3本目「ウサギとカメ」を生成しているときのもの)。左に指示文、下にモデル(シードダンス2.0ファスト)と設定(8秒・縦型9:16・720p)。
「生成する」ボタンの横の数字28が、1本に使うポイントです。
私が実際に使った指示文がこれです(愛車と後ろ姿のカット用)。
日本語にすると「映画のような実写。雲がゆっくり流れ、雲間から光が差し、上着が風に揺れる。カメラはゆっくり寄る。顔と体は変えない」。
コツは2つあります。
- 動きを「情景」で書く。「かっこよく動かして」では伝わりません。雲、光、風、カメラの動き——何がどう動くかを具体的に
- 「変えるな」を明記する。最後の "No changes to face or body" が保険です。これを書かないと、AIが気を利かせて人物の体形や背景まで変えてしまうことがあります
生成ボタンを押すと、数分で8秒の動画ができます。1回で決まることは少なく、指示文を少し変えては再生成。撮り直しではなく作り直しなので、何度でも気軽に試せます。
step
3AIエージェントに任せる(影の主役)
「写真をアプリに入れたら動画ができた」だけなら、誰がやっても同じです。
仕上がりを分けたのは、相棒のAIエージェント(Claude CodeとCodex)との分業でした。実際に任せた仕事はこうです。
- 構成と物語を一緒に考えた。「写真が動き出す驚きを、どの順番で見せるか」「締めのテロップは何と言うか」。壁打ち相手として、構成案を出させて選びました
- 指示文(プロンプト)を作らせた。「雲が流れて光が差す情景を、動画AI向けの英語の指示文にして」と頼むと、上の英文が数秒で返ってきます。英語が苦手でも問題ありません
- キー画像を作らせた(3本目で本領発揮)。物語仕立ての「ウサギとカメ」では、キャラクター画像2枚を渡して「この2人で、勝負の開始・油断・逆転の3場面を、縦9:16で、絵柄をそろえて」と指示。画像から動画を作る以上、キー画像の完成度が仕上がりの決め手ですが、統一感のある3枚が数分で揃いました
- ファイルの整理まで。生成した動画の名前付けとフォルダ分けも任せられます
ちなみに、HiggsfieldはAIエージェントと直接つなぐこともできます(公式サイトの「MCP & CLI」のURLを、Claudeの設定→コネクタに登録するだけ)。
ただし私の環境では、無料生成などの特典はサイト上で作るときだけ有効で、エージェント経由の生成は通常どおりポイントを消費しました。
特典を活かすなら、生成はサイト上で直接が確実です。
step
4Canvaで仕上げる(2〜3時間)
8秒のクリップを場面違いで3本作り、Canvaに並べて1本のショート動画(約24秒)にします。

実際のCanvaの編集画面です(同じく3本目の仕上げ中)。下のタイムラインに8秒のクリップが3本並んでいるのが見えます。水色の帯がシリーズ名「ビルドくん劇場」のテロップです。
- クリップを全画面配置で並べる
- テロップは白文字+黒の縁取り(エフェクト→袋文字)。どんな背景でも読めます
- 締めのテロップ「すべて、1枚の写真から。」を置き、黒い四角にフェードをかけて暗転で終わる
音楽を付けるなら、Canvaのライセンス済みの曲から選べば権利の心配がありません。縦1080×1920で書き出して、YouTubeショートへ。ここまでで1本目が完成です。
ヤスとビルドくんの会話
第4章 3日で3本、進化の記録

この章では、実際に完成した3本をそのまま載せます。品質を言葉で説明するつもりはありません。判断材料は、実物がいちばんだからです。
3本は制作した順に並んでいます。1本ごとに作り方を改良したので、進化の過程としても見てください。
1本目:写真が動き出す
前章の手順で、顔なしの写真3枚から作った最初の作品です。雲が流れ、光が差し、服が風に揺れる。
正直に言うと、ツッコミどころもあります。
よく見ると右手がほとんど動いていないカットがありますし、走る車の運転席に人が見えない場面もあります。
パッと見では気づかないレベルですが、これが今のAIの「正直な現在地」です。隠さずお見せします。
2本目:キャラが踊り出す
粘土人形ふうのキャラクター画像1枚から、3場面を作ってつないだ作品です。改良点は2つ。
- 最初の生成では動きが控えめすぎました。指示文を「踊る」から「bursts into explosive high-energy dance, spinning, jumping, kicking(爆発的に激しく踊り出す。回転、ジャンプ、キック)」と強い動詞に変えたら、見違えました
- 粘土の質感が生成のたびに溶けてしまう問題は、「Keep the handmade clay texture(手作りの粘土の質感を保て)」の一文で解決。ここでも「守らせる指示」が効きます
3本目:物語を語り出す
イソップ寓話「ウサギとカメ」のAI時代版。3幕構成の物語仕立てです。最大の改良は、最初から縦型(9:16)でキー画像を作ること。
2本目で横長の映像を縦に切ってキャラクターが見切れる失敗をしたからです。AIエージェントに絵柄をそろえたキー画像を一括で作らせ、ここで「半日で1本」の型が完成しました。
3本を続けて見ると、わずか3日でも仕上がりが変わっていくのが分かると思います。作りっぱなしにせず、1本ごとに弱点を書き出して次で直す。
設計→試作→検証→改良。ものづくりの基本は、AI相手でも同じでした。
ヤスとビルドくんの会話
第5章 動画の正体はパラパラ漫画

この章では、仕組みを種明かしします。数式は出てきません。「動画とは何か」から考えると、素人でもストンと分かります。
結論:動画はパラパラ漫画
まず結論です。動画の正体は、写真の連続——パラパラ漫画です。
映画もテレビも、1秒間に24〜30枚の静止画を高速でめくって「動いて見せて」います。つまり8秒の動画とは、約200枚の連続写真のことです。
そして今のAIができるようになったのは、「1枚目の写真を見て、続きの約200枚を描き足す」ことなのです。
理由:動きの常識を学習済み
なぜ続きのコマが描けるのか。AIは、桁外れの量の動画を「コマ単位」で学習しています。
その中で、「この場面の次のコマは、だいたいこうなる」というパターン——いわば世界の動き方の常識を身につけました。
- 雲は、ゆっくり右か左に流れる
- 布は、風が吹くとこうなびく
- 歩く人の髪は、一歩ごとにこう揺れる
人間の脳も、実は同じことをしています。窓の外の雲の写真を見せられたら、5秒後の空を想像できますよね。あの「想像」を、AIは200枚の絵として実際に描ける、ということです。
具体例:1本目はこう作られた
私が渡したのは、愛車と後ろ姿の写真1枚と、指示文「雲がゆっくり流れ、光が差し、上着が風に揺れる」。
AIの中では、こういうことが起きています。
- 渡された写真を1コマ目として固定する
- 指示文を読んで、学習済みの常識から「雲の流れ方」「光の差し方」「布の揺れ方」を呼び出す
- 1コマ目から少しだけ動いた2コマ目を描く。2コマ目から3コマ目を——と約200枚を描き続ける
- 200枚をつなげて、8秒の動画として書き出す
私の指示文は、AIが持っている膨大な「動きの引き出し」のうち、どれを開けるかを指定するスイッチだったわけです。
(ちなみに、1枚1枚の絵は「ぼやけた下絵から少しずつピントを合わせるように」描かれます。拡散モデルという方式ですが、名前は覚えなくて大丈夫です)
得意と苦手がはっきりある
つまり第4章のツッコミどころは、失敗ではなくこの技術の性質そのもの。ここが分かると、AI動画との付き合い方が変わります。
ヤスとビルドくんの会話
第6章 使える素材、使えない素材

この章では、私が実際に「止められた」体験と、その後に利用規約や公的資料で裏を取ったルールをまとめます。3日間の体験談だけでは根拠として弱いので、出どころを明記します。
体験1:実在の顔は動かせない
第3章のとおり、顔が写った写真は生成がブロックされました。当初は理由が分からなかったのですが、Higgsfieldの利用規約と公式ヘルプを確認すると、明確でした。
- 他人の画像は、本人の明示的な許可がないとアップロードできない
- 顔などの生体情報の投稿は制限される
- 参照画像・指示文・生成結果は、モデルごとにAIが自動チェックしている
つまり「プロが撮ったから」ではなく、実在の人物の顔そのものが、なりすまし動画(ディープフェイク)対策で厳しく扱われるのです。
これは業界全体の流れで、大手サービスほど厳しくなっています。自分の顔でも、サービスによっては本人確認や同意の手続きが必要です。
発注者として知っておくべきこと:社長の顔や社員の顔を動かす動画は、「本人の同意の記録」を残すのが基本。チェックボックスを押しただけでは、同意の記録として不十分とされる場合があります。
体験2:有名キャラはやらない
有名キャラクターをAIで動かすことは、技術的にはできてしまう場合があります。
しかし文化庁が2024年に公表した「AIと著作権に関する考え方について」では、AI生成物の著作権侵害は「類似性」(既存の作品に似ているか)と「依拠性」(既存の作品をもとにしたか)で判断されると整理されています。
有名キャラを意図して生成すれば、その両方が認められやすい。つまり「AIが作ったから大丈夫」は通用しません。私は最初から手を出さないと決めました。
体験3:有名曲は置き換える
楽曲にも振り付けにも権利があります。私は「その雰囲気を感じさせる別の表現」に置き換え、音楽はCanvaのライセンス済みの曲から選びました。
商用で使う音源は、ライセンスの範囲(商用利用可か)を配布元のページで確認してからが鉄則です。
体験4:昔話は堂々と使える
著作権には保護期間があり(日本では原則、作者の死後70年)、期間が満了した作品は誰でも自由に使えます。イソップ寓話を選んだのはそのためです。
誰もが知っている物語の骨格を合法的に借りて、中身を自分の文脈に置き換える——コンテンツづくりの王道の型です。
出す側のルールも変わる
YouTubeでは、本物と見分けがつきにくいAI生成・改変コンテンツについて、投稿時に開示(ラベル付け)する仕組みが導入されています。
「AIで作ったことを隠さない」は、これからの発信の基本マナーになりつつあります。
| 使いたいもの | 判断 | 根拠 |
|---|---|---|
| 自分で撮った写真(顔なし) | 使える | — |
| 実在の人物の顔 | 本人の同意の記録が必要 | サービス利用規約(生体情報の制限) |
| 有名キャラクター | やらない | 文化庁「類似性×依拠性」の考え方 |
| 有名な楽曲・振り付け | 置き換える | 著作権・ライセンス確認 |
| 著作権切れの物語(イソップ等) | 堂々と使える | 保護期間の満了 |
ヤスとビルドくんの会話
第7章 今のAIには3つの壁

この章では、いちばん大事な話をします。今のAI動画の進化を押しとどめている「3つの壁」はどこか。そして、その壁が壊れたとき、何が起きるのか。
エンジン開発で30年、技術の進化を見てきた目で整理します。
今の壁は3つ
①長い動画になると、破綻する
今のAI動画は、8秒〜数十秒の短いクリップは得意ですが、長くなるほど崩れます。
研究の世界では「時間的一貫性」と呼ばれる問題で、生成が進むうちにAIが最初の設定を忘れていくのです。
主人公の服の色が変わる、背景の建物が別物になる——数十秒を超えて破綻なく生成できるモデルは、2026年時点でもまだ限られています。
私の作品が「8秒×3幕」のつなぎ構成なのは、この制約に合わせた設計です。
②物理法則を、本当には理解していない
第5章で説明したとおり、AIは「動きの常識」を映像から学んだだけで、物理を計算しているわけではありません。
だから水の流れ、布の複雑な動き、物と物のぶつかり合いは、よく見ると嘘があります。1本目の「運転者のいない車」も、この仲間です。
③実在のものを、正確に再現できない
自社の商品、実在の人物、店舗の内装。「正確にこれを見せたい」という要求が、実は一番苦手です。AIは見たことのない細部を、もっともらしく作ってしまう(幻覚=ハルシネーション)。
商品の形が微妙に違う動画は、宣伝では使えません。
だから今は、こう使い分ける
| 場面 | 向いているのは | 理由 |
|---|---|---|
| 会社の顔になるブランド動画 | プロ | 一発勝負の品質と実在の正確さが要る |
| 商品・人物を正確に見せる動画 | プロ | 壁③に正面からぶつかる |
| SNSに日常的に出すショート動画 | AI | 短尺=①の制約内。数を出して反応を見る用途に合う |
| 季節の挨拶・キャンペーン告知 | AI | 思いついた日に出せる速さが活きる |
| 物語仕立て・世界観づくり | AI | 実写では撮れない絵が作れる。細部の正確さを問われない |
壁が壊れると何が起きるか
この3つの壁に対して、世界のAI研究は「ワールドモデル」という方向に進んでいます。
映像の見た目だけを学ぶのではなく、世界がどう動くかそのものをAIの中に持たせる——物理を理解し、長い時間の一貫性を保ち、音声まで同時に生成する。
各社の最新モデルは、すでにその入り口にいます。
そして、壁が壊れかけている証拠は、もう世に出ています。
- コカ・コーラは2025年のクリスマスCMをAI生成で制作しました。7万本ものクリップを生成し、100人超の専門家が選別・仕上げをした——つまり「撮影」が「生成と選別」に置き換わったのです。使われたツール一覧には、私が月3,000円で使っているHiggsfieldも含まれています
- 米国では、2025年のNBAファイナルで放映されたKalshi社のCMが、Googleの動画AI(Veo 3)を使って約2日・約30万円(2,000ドル)で作られ、1週間で300万回再生されました。テレビCMの制作費の常識を壊した事例として話題になりました
- ミュージックビデオの世界でも、撮影なしでAI生成だけで作られた公式MVがすでに登場しています
プロモーションビデオもMVも、「撮影と編集」から「生成と選別」へ。制作の重心が、カメラの前からパソコンの前へ移り始めているのです。
とはいえ、コカ・コーラの事例が教えてくれるもうひとつの真実があります。AIが7万本生成しても、選び、整え、判断したのは100人の人間でした。
生成は安くなっても、「何を良しとするか」を見極める目の価値は、むしろ上がっています。
だから私は、こう考えています。壁が壊れるのを待つより、壁の内側で今できることを小さく始めて、「見極める目」を先に育てておく。変化は、触っている人にしか見えませんから。
ヤスとビルドくんの会話
第8章 動画は入口。仕事全体が変わる

この章では、この記事の本当のテーマをお話しします。動画制作は、もっと大きな変化の入口にすぎません。
私はこの1年、Webマーケティングの仕事のほぼすべてを、相棒のAIエージェントと一緒にやってきました。誇張ではなく、実例があります。
- 市場調査・競合分析:かつて数日かかっていた調査が、AIエージェントとの分業で数時間に。この記事の海外事例や技術文献の調査も、そのやり方で行いました
- ホームページ制作:市場調査から構成設計、ページの実装まで。AIと作ることで、費用も期間も従来の外注の常識を大きく下回ります
- LINE公式アカウント構築:シナリオ設計から配信文まで、AIとの共同作業で構築
- SNS発信素材の画像・動画制作:この記事で紹介したとおり。画像も動画も、手元から出せるようになりました
- SEO型ブログ:構成から執筆・装飾まで、AIエージェントとの分業で週次の連載を継続しています
AIエージェントの始め方や実例は、こちらの連載で公開しています。
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一人で仕事をしているのに、優秀なAI社員を何人も雇っているような体制。安く、早く、そして品質はむしろ上がる——それが、いま実際に起きていることです。
これは、パソコンが登場したとき、スマホが登場したときと同じ——いや、それ以上の規模の技術革新だと私は感じています。
あのとき「そのうち考える」と言っていた会社と、先に触った会社の差が、数年後にどうなったか。私たちは知っています。
AIに仕事を奪われるのではありません。AIを使う側に回るかどうか。 それだけの話です。
この記事が、その最初の一歩になれば嬉しいです。そして、もし「うちの会社で、何から始めればいいか」を相談したくなったら——私はWeb×AIの伴走支援を仕事にしています。
60分の無料相談から、お気軽にどうぞ。
ヤスとビルドくんの会話
まとめ:まず1本、小さく試す
最後に、この記事の要点を3つにまとめます。
この記事の要点
- 動画制作に「撮影しない」という選択肢が生まれた。 機材ゼロ・月約3,000円・1本約300円で、写真と指示文から動画が作れる。指示のコツは「情景で書く」「変えるなを明記する」
- 動画はパラパラ漫画。AIは「続きのコマ」を描けるようになった。 だから短い動画と世界観づくりは得意で、長尺・物理・実在の正確な再現はまだ苦手。「ここぞ」はプロ、日々の発信はAIと使い分ける
- 権利のルールは「体験+出どころ」で確認する。 実在の顔は同意の記録、有名キャラは類似性×依拠性でNG、著作権切れの物語は堂々と使える
今すぐできることを、ひとつだけ。手元の写真を1枚、選んでみてください。 「この写真が動いたら、うちの商売で何に使えるだろう?」——その問いが、最初の一歩です。
一緒に、一歩ずつ進んでいきましょう。